タイトル:群像 2022年12月号 | ||||
中篇一挙掲載 | ||||
雲をなぞる 千秋は聴く。慈郎が話す、死んだ朝寿のことを、かれがよく行っていたおでん屋のことを、おでん屋で聴いた誰かの語りを、誰のものかわからなくなった、誰のものでもない声に、耳をすませる。このからだが、書かれた文字に、書くための紙になるまで、聴いてみたいと思っている。 | … | 青野暦 | P6 | |
創作 | ||||
フェスティヴィタDEATHシ 「激辛フェスで大役をこなす自分を見てもらって、その勢いでプロポーズしようと思ってるんです」。フェスティヴィタ池尻大橋店の長い一日が始まる。 | … | 金原ひとみ | P48 | |
袋いっぱいに黒い種が 銀坂の孫の、不登校がつづいているらしい。「だめな時は、逃げればいいのよ」母の声を思い出した。 | … | 川上弘美 | P74 | |
仁徳天皇 民に慕われ聖帝と呼ばれても、嫉妬深い大后の怒りに為す術もない。「町田古事記」最終話。 | … | 町田康 | P83 | |
特集 小さな恋 | ||||
マンガ・エッセイ 小さな恋の60年 『小さな恋のものがたり』を描きつづけて60年。初恋のときめきを胸に秘めた、81歳の漫画家が編んだ夢いっぱいの宝箱。 | … | みつはしちかこ | P104 | |
創作 お返し 息子が保育園でバレンタインのチョコレートをもらった。「うれしいか?」「うれしいよ!」無邪気な声に、おれは別の記憶に思いをはせる。 | … | 高瀬隼子 | P120 | |
詩 かわいそうに、濡れて 〈あなたは熱い風雨だ、見える限りの、宇宙に抜けていく空だ、〉。中也賞詩人の書き下ろし詩篇。 | … | 井戸川射子 | P134 | |
批評 あなたが生きられる物語――恋/愛を問い直す いまだ包摂されないグラデーションをとらえるために。松浦理英子作品を透かして拡張する親密性のかたち。 | … | 水上文 | P138 | |
新連載 レディ・ムラサキのティーパーティー――姉妹訳 ウェイリー源氏物語 『源氏物語 A・ウェイリー版』の〈戻し訳〉は、いかにして成しとげられたのか――「ワードローブのレディ」「エンペラー・キリツボ」など、光る訳語を見出した翻訳秘話。 | … | 毬矢まりえ 森山恵 | P148 | |
エッセイ 静かに眠っている本を 取り戻せない過去、物が導く記憶、胸に空いたドーナツの穴。「惜しかったね」と懐かしく笑いあう日々に、詩と散文と、浸る幸福。 | … | 菅原敏 | P160 | |
エッセイ 偏愛ラブレター 「偏愛」するものがあるってなんて素敵なんだろう。愛情あふれる6つのエッセイ。 青葉市子/小川洋子/木下龍也/高山羽根子/町屋良平/向井康介 | … | P174 | ||
小特集 ソルニット、ふたたび | ||||
自然と政治、蛇行する思考――オーウェルとソルニット ディストピア的イメージを覆し、自然を愛する新たなオーウェルの本質を見出していく。ソルニットの新刊『オーウェルの薔薇』をめぐる、共訳者ならではの刺激的対話。 | … | 川端康雄 ハーン小路恭子 | P192 | |
批評 砂漠のノーテーション なぜソルニットは砂漠でカントリーミュージックを聞いているのか。砂漠と音楽をめぐるいくつかの事柄。 | … | 東辻賢治郎 | P206 | |
レベッカ・ソルニットの捉え方で露呈するのは読者自身かもしれない 思想家、社会活動家、フェミニスト――。母国アメリカではどのように受容されているのか。あなたにとってのソルニットは? | … | 渡辺由佳里 | P215 | |
エッセイ | ||||
追悼・中井久夫 ヒュブリスの罪と十字架 精神科医として、文学者として多くの業績を残した中井久夫が亡くなってから3ヵ月。彼の人間としての態度が今も私たちに伝え続けるものとは――。 | … | 最相葉月 | P224 | |
『ポエトリー・ドッグス』刊行記念エッセイ | ||||
近代詩100年の「わからなさ」 詩のわからなさとはなんなのか、そして、どこからくるのか。一九二二年という文学上の特異点から、モダニズムを解きほぐす。 | … | 斉藤倫 | P234 | |
『大江健三郎の「義」』刊行記念対談 | ||||
大江健三郎と柳田国男の“夢のゆくえ” 「ギー兄さん」は「義にいさん」か「ヤナギタにいさんか」ーー『大江健三郎全小説』の解説者が、柳田民俗学に詳しい歴史家と語った。 | … | 鶴見太郎 尾崎真理子 | P244 | |
連作 | ||||
ふたり暮らしの〈女性〉史〔3〕 人が、ただの個人として生きることはなぜこんなにも難しいのだろう。無責任に語り継がれてきた「常識」的な性/生ではない、彼女たちが選びとった足取りを見つめ直す試み。 | … | 伊藤春奈 | P267 | |
article | ||||
生理から既存の社会を問う――「生理アクティビズム」の課題と可能性 | … | 谷口歩実 | P260 | |
最終回 | ||||
Nの廻廊 私は人目も憚らず涙を流した。・・・・棺に近づき、蓋を開けてもらい、その顔を見つめつづけた、自裁を遂げた友への鎮魂の賦。 | … | 保阪正康 | P286 | |
コラボ連載 | ||||
SEEDS 現代新書のタネ 第10回 多文化共生から、違う世界に生きる人々との共生へ | … | 塩原良和 | P295 | |
連載 | ||||
多頭獣の話 第 3回 | … | 上田岳弘 | P302 | |
の、すべて 第11回 | … | 古川日出男 | P316 | |
鉄の胡蝶は夢の記憶に歳月に彫るか 第52回 | … | 保坂和志 | P336 | |
歩山録 第 2回 | … | 上出遼平 | P358 | |
野良の暦 第 2回 | … | 鎌田裕樹 | P372 | |
「くぐり抜け」の哲学 第 3回 | … | 稲垣諭 | P376 | |
文化の脱走兵 第 3回 | … | 奈倉有里 | P390 | |
文学ノート・大江健三郎 第 4回 | … | 工藤庸子 | P395 | |
庭の話 第 6回 | … | 宇野常寛 | P434 | |
事務に狂う人々 第 7回 | … | 阿部公彦 | P446 | |
撮るあなたを撮るわたしを 第 7回 | … | 大山顕 | P462 | |
世界の適切な保存 第 8回 | … | 永井玲衣 | P470 | |
なめらかな人 第 9回 | … | 百瀬文 | P476 | |
文学のエコロジー 第10回 | … | 山本貴光 | P482 | |
投壜通信 第 6回 | … | 伊藤潤一郎 | P494 | |
磯崎新(シン・イソザキ)論 第12回 | … | 田中純 | P507 | |
「後」(アフター)の思考 第 4回 | … | 石戸諭 | P532 | |
言葉の展望台 第19回 | … | 三木那由他 | P548 | |
こんな日もある 競馬徒然草 第22回 | … | 古井由吉 | P558 | |
日日是(にちにちこれ)目分量 第28回 | … | くどうれいん | P544 | |
「近過去」としての平成 第33回 | … | 武田砂鉄 | P566 | |
星占い的思考 第33回 | … | 石井ゆかり | P554 | |
所有について 第19回 | … | 鷲田清一 | P522 | |
辺境図書館 第33回 | … | 皆川博子 | P562 | |
〈世界史〉の哲学 第144回 | … | 大澤真幸 | P572 | |
文芸文庫の風景 第24回 | … | 津田周平 | ||
随筆 | ||||
図書館への道 | … | 青木海青子 | P241 | |
ちんちんは面白い | … | 澁谷知美 | P370 | |
見えない水、見える水 | … | 千種創一 | P504 | |
俺様ルール前提の「なんちゃって民主主義」 | … | 平井美帆 | P430 | |
書評 | ||||
『永遠年軽』温 又柔 | … | 平岡直子 | P586 | |
第67回群像新人文学賞応募規定 | … | |||
執筆者一覧 | … | P594 |
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